2014.08.15 Friday
GMOVenturepartners今週2社目の上場承認。リアルワールドが待望のIPOへ
この協会から早くも上場会社が!
通算8社目のIPOとなるが、今回は7年越しだ。今までで最も長い。
以前、投資稼業は、辛抱と忍耐と信念だと書いた。
通常のファンドは5-10年がファンド期間であるから、7年というのは途方もなく長い時間に感じる。
VCファンドの最大の敵は、選定ミスや投資先の倒産でも何でもなく、実は満期なのである。どんなに有望な会社に投資しても、99%計画どおりにはいかない。相当に成功しても1年や2年のズレはざらであり、最初の事業とはまったく別の事をやりだす場合もある。数年のズレも普通だ。そうなるとファンド満期内にIPOはおろか、投資家が期待するような都合のよいExitなるものは、「ない」。ニュースになるのはごく一部の例外だ。
まあまあよい縁談話に飛びついてしまったりもする。
ある意味、待つ能力。バフェットでもないのに、満期のあるファンド運用者なのに、それでも待つ能力。
祝!
菊池社長について
不屈・執念の人だと思う。
一見、大柄でもないし、目からエネルギーが迸る、というタイプでもない。物静かな印象すらある。
しかし、しぶとい。物腰は柔らかいが、押しは強い。
それはこの7年を見てきて、本物だと思う。
リアルワールド社への投資
7年前。2007年3月に投資した。
まだ2006年を頂点としたネット上場ブームの余波が残る年明けだった。
創業間もないが大変な勢いのある会社で、スピード上場も視野にいれて成長に邁進していた。
ここでもGMO-PGとの提携は仕掛けた。
リアルワールドとGMO-PG、ポイント交換サービスを共同展開
しかしそう簡単にはいかなかった。
ネットの世界の流れの速さもあるし、その底流にある景気の変動ももろに受ける。
株価は景気を映す鏡である。ピンとこない人も多いだろうが、株価が下がると、不思議と発注が減る。IT投資予算も広告予算も締まる。ベンチャーの成長には逆風が吹き荒れる。
このチャートが物語るように、最初は徐々に、そして次第に明らかに天候が悪化してくる。
そして年が明けて2008年となるといよいよ雪嵐。悪夢の年となる。
リーマンショックの前後の風景は大変なものだった。
何が起こったかと言うと、
1 上場会社に投資する機関投資家ファンドが次々に解約売りで解散し、上場会社の株価が信じられないレベルにまで下がる。
2 それをみたVCが、新規の投資をしなくなる 追加投資もダウンラウンドになるので、かなり困難になる
3 それをみたVCのLPが資金を引き上げだし、VCの組成がほぼゼロになる
4 それをみたVCが新規投資をほぼしなくなる あるいは解散する。
2009年、2010年は冬景色となった。
この会社の挑戦
そのような中で脈々と事業を続けていた。
大きな幹に育っていた、「能動的に稼げる機会・メディアを提供」というコア。
これを、創業事業であったポイントメディアから、マイクロ型のクラウドソーシングに繋げてきた。
詳細は会社のエクイティストーリーに期待したいが、私は、
個人の、個人の意欲を糾合しているプラットフォームであること、だと思う。
Airbnb、Uber、世界で1兆円以上の価値をもつこれらの新しいプラットフォームに共通している要素・価値は何か。社会の「非稼動」に「ニーズ」を結びつけ、価値に転換する。
そして日本には、膨大な「非稼動」が眠っている。
働きたいけど主婦をやっている人。10分の暇な時間が一日10回ある人。それではパートも出来ない人。
それをインターネットが変えた。
分散した細切れな時間を、インターネットでつなげて、巨大な絵巻にする。時間とインターネットのマジックだ。
それがマイクロ型のクラウドソーシングだと思う。
このモデルを新たな成長エンジンにして、いよいよ資本市場に登場してくる。
資本市場という成長インフラを活用して、どう加速してくるか、楽しみである。
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