仏クリテオ、米ロケットF上場に続き本日フリークアウトが上場承認。DSP世界競争時代に日本も名乗りを挙げる。



本日、フリークアウトが上場承認された。
これまで開示していなったが、開示資料でGMOVenturePartnersは株主の一社である事が明らかになったので、ここまでの8年の経緯をはじめて書いてみる。
 
まだ「アドテク」という言葉をほとんど聞く事もない時代。GMOVenturePartnersを立ち上げたばかりの2006年頃の話。最初に本田さんにお会いした。
 
衝撃だった。
「ブレイナー」という会社を立ち上げたばかりだった。
「検索に連動した広告」を提供しているという。
日本のスタートアップが?
Googleアドワーズの法人ヘビーユーザーだった私は、Googleがどれだけの力を持っているかは日々感じていた。
最初は意味がわからなかった。
今では、あのアドカオスマップをみんな見ているからか、このスペースは多数のスタートアップが棲息できる場所なんだ、と思うのだろうが、2006年当時は違った。
ヤフーとGoogleの決着はまだ付いていなかったように思うが、この2社だけで昔の米ソのように、世界の至るところで争っていた、そんな時代風景だった。
そんなところに生存チャンス、ビジネスチャンスがあるのでしょうか?
普通に聞いた。
 
はっ?
あるもないも。これから大成長する広大なホワイトスペースですよね、

そんな反応だった。
本田さんにしか見えていない、広大なビジネスチャンスの平原が眼前に広がっているようだった。
実際、快進撃した。その後の日本のアドテク業界のキーマンとなるすごい人材が集まっていった。ホンダマフィア、といっていいだろう。
 
それから1年後だろうか、その会社は日本のヤフーの傘下に入った。
ヤフーがインタレストマッチを投入し、Googleに独自技術による最後の戦いを挑んでいた。
そこで、とある勉強会でまたお会いした。
 
最近のこの分野、どうなんでしょうか。
さすがにすでに巨人間でも勝負のついた分野だと思っていた。
 
はっ?
あるもないも、まだまだ広大なホワイトスペースですよね、なぜなら、、
前回よりもだいぶ詳しい、理に語った説明を、いかにもギークなアド・ハッカーエンジニア視点で表現してくれた。
 
あの時のホワイトボードに描かれた図。衝撃は今でも忘れない。
目から鱗が落ちた。
この分野こそ、これから最も面白い大成長分野なのだと理解した。
 
いろいろインスピレーション・アドバイスを頂いた。
そこから誕生したのが、本田さんの旧知のエンジニアである高田さんが参画するKauliだった。GMOVenturePartnersは創業投資し必死に応援した。最初のサーバーはセルリアンの現GMOペパボの方々の真後ろに無理に置かせて頂いた。もちろん自作サーバー。
後に日本最大の専業SSPになる。
以来、私はアドテクというスペースにすっかり熱中していた。
 
そして本田さんは再度起業、今度はDSPを創るという。
日本では成功しない。米国ではRTB、SSP、DSPが当たり前になっていたが、日本の広告業界は冷ややかだった。
しかし本田さんにも、Kauliの高田さんにも確信があるように見えた。
必ずそうなる。
2011年の1月、2社が日本で最初のRTBベースのDPS、SSPとなった。
Techcrunch記事 リンク:http://jp.techcrunch.com/2011/01/12/jp20110112freakout-goes-into-new-ad-market/
Kauli社発表リリース リンク:https://kau.li/docs/Kauli_PressRelease_2011_0113_RTBAd.pdf
 
RTBは、始めてみれば見事に成立した。
その後の展開はご存知のとおり。なだれを打って参入が始まった。
1年足らずで、日本版のカオスマップ、が出来上がった。
まさに、業態・市場を創出した。
微力ながらGMOインターネットグループも、プラットフォームを活用する形でご支援してきた。
あの二社、あの二人があの時始めていなければ、日本は今日のようになっていなかっただろう、とは言いすぎかもしれないが、起爆剤となった事は確かだろう。
幕末で言えば、幕府絶対優位の状況から維新の政局が大回転を始めるきっかけとなった、高杉晋作の「功山寺の挙兵」を彷彿とさせる。
 
いろいろご縁があり、2012年2月のシリーズA的(厳密にはそう呼称されないが)なラウンドで参加させて頂いた。「今度はアドテクノロジーのFreakOutが3.5億円を調達」
リンク:http://jp.techcrunch.com/2012/02/22/jp20120221freakout-350million-yen/
 
調達は当時としては大きい。今の10億円の感覚だろうか。Valuationとしても開始1年も経っていないステージのそれとしては破格に思われたようだった。
確かに同時期にそれなりの規模でそれなりに驚かれるValuationで大手に買収されたアドテクスタートアップのそれよりも高いレンジだったが、
それまでの数年で様々な場で氏の開発手腕・ビジネス手腕を目の当たりにしていた私は十分行けると思っていた。
何よりも、この会社は市場を創っているのだ。それも1000億円規模の市場だ。そんなスタートアップがどれほどあるだろうか。
「短期売却ではなく、時価総額1000億円を目指せる目線の起業家に投資する。」GMOVenturePartnersの投資テーマに合致した。
1億円以上の投資はほとんどしないGMOVenturePartnersだが、過去最大金額となった1.5億円の投資を断行した。
 
その後の快進撃は目を見はるものがあった。
それから1年後にはYJから3倍程のValuation評価を頂き5億円調達することになり(リンク:http://jp.techcrunch.com/2013/03/07/jp20130307freakout-500million-yen-series-b-round/)、
そしてさらに1年後に今回の上場承認となった。
 
この会社の強みは、日本で最初かつ専業最大手DSPである事、ではない。
それはこの会社の今の姿の一断面に過ぎない。
そうではなくて、市場創造出来る能力。後追いではなく広告技術への本質的理解力、本来は、未来はこうなるべきだというビジョン、
それを物理レイヤからゼロから経営者自らが開発・実装出来る能力。
さらに文句なく最強クラスの強力な経営チーム。日本のスタートアップには珍しいレベルだ。二大巨人であるヤフーとGoogleからきっちりトップクラスの幹部や若手の天才エースを集めている。
どうして本田さんはこれほどまでに人を集められるのか。頭を抱えるレベルなのだ。
流れが恐ろしく速いこの業界にあって5年後に何が主力になっているかはわからないが、常に広告技術の先端にいるだろう。
 
そんな会社が設立から3年程で上場する事を日本人としても誇りに思う。
このようなスタートアップ、経営チームを、日本の資本市場は応援して頂きたい。
これから、より大きな本命の広告市場や、世界への挑戦がこの会社を待ち受けている。
紆余曲折は、しない会社はない。
四半期業績に現れる表面的な数字には、一番重要なアセットである人材、が表現されない。経営チームが見据えている遠大なビジョンを吟味し、応援して頂きたい。

上場 | 15:50 | comments(0) | trackbacks(0)

        
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