本質的に重要な経済構造の変化には、しばしば5年から10年のスパンを要する。
年末年始の日経新聞の一面を連日飾ったのは「ネット販売」つまりはECである。大手商社のネットスーパー開始。
みなさんはWebVANという会社名をご存じだろうか?
10年前、米国ではドットコムバブルの絶頂期に向かって、およそ思いつくあらゆるドットコムビジネスが百花繚乱であった。
その中でも、後に
ドットコム史上最大の倒産といわれることになるのがWebVAN、ネットスーパーだっだ。
私も当時シリコンバレーの爆心地にありドットコム陽気を謳歌していたし、このサービスを使ってもみたが、「アイディアはすばらしいが、莫大な投資資金に比べて経済規模が小さすぎた」。
それから10年、通信容量・速度・コスト、デバイス性能、ネットリテラシー、業界慣行、そして何よりもネットユーザー総数。
あらゆるものが一変した。
これらの「下部構造」が「上部構造」である個別のネットビジネスの規模や成否を規定する。
2009年になってようやく、大資本が本格的にこの構造変化に参加し始める時期になったと言える。
そもそも
バズワードやその背景にある時代の雰囲気の賞味期限は1,2年である。
しかしそのワードが示すものがもたらす変化が確固たるものである場合、時間差は3年から5年、長くて10年はあるが、
テクノロジーが一部のギークだけのものではなくなり、ビジネスが一定の経済規模に達し、従来にはない高収益企業が現れ、旧来の大手企業の業績が急速に悪化し始め、
人々の生活が変化し始める。
それは2008年初めから顕著になり始めた米国の新聞業界にも、現在の日本のテレビ業界にも、最近になって急速に高収益化し非常な人気IPOになったSNSベンチャーにも、当てはまる。
GREEのIPOが3年前であれば、CGMとかUGCの名称でもてはやされたはずだが、今回のIPOではこの言葉はほとんど聞かない。しかし明らかなるCGMでありUGCではないか。
バズワードはその短い天寿を全うするが、
その意思は数年後に世界を変えるのである。
そして2009年、「RIA」という表現に注目している。
真に経済構造の変化にまで発展するのは3,5年後かもしれないが、大きな流れになることは間違いない。
そもそも、この10年で起きてきた変化は、そのほとんどがインターネットの上で「社外」で起きてきた。
いったい、どれほどのことが「社内」で変化したというのだろうか?
1994年社会人となり就職したがその翌年にWindows95の津波により一挙にオフィスに「PC」が入ってきた。(なんと、それまでは社内文書は手書き、メールもなかった、、)
その翌年にはNetscapeによりインターネットという窓が開き、「サーチ」行為により、あらゆる情報が瞬時である程度調べる事が出来るようになった。
すばらしいイノベーションだった。
しかしそれでは社内の業務プロセスにいかほどの変化が起こったか?エクセルやパワーポイントを使った仕事はよい。メールによるコミュニケーションが定着したものよい。ブログ等のツールにより情報発信のバーが下がったのもよい変化だ。
しかし業務プロセスは?
RIAはリッチなインターネット、という意味だけで語られる事がまだ多いように思えるが、その真の価値は社内の業務プロセスを視覚面から革新することでなければならないはずであり、そうであればついには、10年以上置き去りにされてきた社内業務プロセスのコンピューティングベースのイノベーションを次の段階に導いてくれるものになるだろう。
参考/RIAという言葉が意味するもの/CNET
参考/ブラウザの枠を超えろ! RIA技術最新事情 Flashと比べないで!――SilverlightがRIAの本命だ/ASCII.JP
Silverlightが力を発揮する場面として特に期待できそうなのが、企業内で使われる業務用Webアプリケーションだ。業務アプリケーションは1990年代以降、クライアント/サーバー型のデスクトップアプリケーションから、Webアプリケーションに置き換えられていったが、UIに関しては今ひとつ洗練されていないことが多い。IMEのオン/オフを細かく制御していなかったり、商品や部署コードを巨大なリストボックスから選ばせたりするなど、デスクトップアプリケーションであれば当然できていたUIの細かな心配りが足りないのだ。「企業内でSilverlightの採用が増えれば、こうした状況は一変する」というのが、Silverlightに込めたマイクロソフトの思いである。