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続「なぜ日本にgoogleやAmazonがないかって?」IVSベンチャーファイナンスパネルの所感まとめ

今回のIVSのベンチャーファイナンスパネルを拝聴し、以前下記のブログにも書いたテーマを

改めて考察したくなったので、パネルのまとめを記載しつつ、自身の考察を加えたい。


1年半前のブログのエントリー「なぜ日本にgoogleやAmazonがないかって?」

http://blogfund.jugem.jp/?eid=161

 

シリコンバレーやシアトル、要は西海岸にあって日本にないものを考えてみる。

ゝ業家の数。桁違い。まず100倍以上の差がある。

⇒ソ┐淵廛CEO・COO・CFO・エンジニア等の数が桁違いというよりは日本には「層」としては存在すらしない。業界共有の暗黙の給与テーブルすらある。

googleもFacebookも、優秀な創業者だけで伸びたわけではない。日本の場合は創業者=CEOだから、母数もスケールもスピードもかなわない。

K綿道埔譴世韻5倍程度、英語圏となると7〜9倍もある市場規模。言語に依存するビジネスならば不利を通り越して勝負にも比較にならない。

ぅ灰鵐札廛箸某諭Ε皀痢Εネ・情報が瞬間的に集まる社会インフラというか社会通念、価値観の違い。

「ソーシャルなんとか」「クラウド」「クリンテック」。すべてアメリカ人得意のコンセプトの発明だ。そこに脅威的な人材流動性。優秀なエンジニアを、1年で200人さっと集められる(勝てないと思えば数か月で離散するが、、)。

ゥ┘鵐献Д襦VC・資本市場の層の厚さの違い。世界中から資金も優秀なアナリストも集まっている。

 

にも書いたのだが、

 

日米の違いを考えるとき、この構成要素全体を考える必要があるだろう。

そんな中で今回のパネルディスカッションではイ鮹羶瓦箸靴慎掴世世辰燭藩解する。

改めて印象的だった個所を補記しながらまとめる。


---------以下パネル参加者の発言より。()内は村松の補足

インキュベイトファンド本間氏:googleのエンジェルラウンドはvaluationで10M$程度だったが(これも相当大きいが)シリーズAでKPCBが入ったときはvaluationが90M$だった、この間の企業価値の引き上げをしてくれる人が日本にいるのか、という視点が重要。なかなかいない。(※ちなみに上場時のvaluationは10兆円を超え、KPCBには1兆円以上のキャピタルゲインが発生したと思われる)

 

グロービス仮屋園氏:グロービスのファンドは海外出資者が80%だが、日本にはまだ何かあるのではないかという期待と、20年くらいの目でみて世の中をよくしていく会社に投資したい、という創業ファミリーの資金、というのもあるので、アーリーステージだけではなくバランスをとって投資する方針。

 

UBS証券アナリスト武田氏:日々、海外投資家からの日本のネット企業への期待値が下がってきていると感じる。この2−3年はソーシャルで何か新しいものを探すとUSにも中国にも上場会社がなかったので、日本のソーシャル系上場ベンチャーに流れてくる事があったが、今はrenren等の海外系が増えてきて相対的に魅力が低下してきているのではないか。

 

(※実際に現在のDeNAの時価総額は4400億円だが、これはPERで13倍程度しかない。この低いValuationの背景には、ユーザ数7億人を突破したFacebookの上場が近づき、renrenやLinkedIn等のSNSの上場が相次ぎ、投資先が増えてきた事であえて日本のSNSに投資する海外投資家が減ってきたという事だろうし、あまりにも急激な利益成長を一過性のものとして理解して安心してしまっている投資家が多い事もあるとの指摘がある)

 

DCM伊佐山氏:DCMのファンド出資者(LP)の声としては、次のgoogleを見つけてくれ、中途半端なバント(売上がすでにあるとかあと2,3年で上場するとかの会社への投資=投資時のValが高いので結果として大きなリターンが出ない)なんかしないでくれ、という声が強い。そのような、全くこれまでにないものを生み出すようなベンチャーの初動の資金としては2-5億円は必要で、その全額を出資するが、なくなったらそれでいい、一社でもgoogle級の会社が生み出せればそれで他の失敗を全部取り戻せてリターンが出せる、というのがシリコンバレーのVC世界の考え方

(※このようなLPの要求の背景には、LP自体が年金ファンドを中心に非常にプロ化した投資家であり、膨大な資金を様々な金融商品に分散投資しており、何割かはプライベートエクイティに組み入れ、ごくわずかなパーセンテージの資金をVCファンドに組み入れる。当然この部分に期待するのはハイリスクハイリターンなので、他の金融商品のようなローリスクローリターンな投資方針は取ってほしい訳がない、それならVCファンドに投資しない、という考え方は確実に存在する、少なくとも99年時点ではそうだった。日本のPE含めた資本市場はこのような重層的な厚みを形成しておらず、またVCファンドのパフォーマンスは概して高くないので、ホームラン狙いのリクエスト自体ありようがないと思われる)

 

直近のDCMの事例としては、最近NYSEに上場した中国大手SNS、renrenは、大学院の同級生が北京に帰って当時のSNS、フレンドスターの物まねをする、奥さんと子供を米国において、成功したら呼ぶという気合いにも共鳴し、エンジェル投資の中で投資した、それの会社を他の会社が買収してその会社にどんどん追加投資していった。

SNSでもなぜこんなに時価総額が日米では違うのか?という質問に対しては、USでは時価総額500億円以下のIPOの引き受けはやらないと証券会社に言われてしまう。renrenの場合も何度も低いValでの上場という誘惑があったが数年前、ソフトバンクから300億円の出資を得て一息ついた。その時孫さんからは時価総額3000億円になるまで上場するな、と言われてしまった事もあり、引っ張って先日上場した。

OPIというホールディング会社の中で儲かっている会社をくっつけてrenrenにして上場させた。

日本では最初に十分な資金を与えないので、一番やりたいことがやれていない。受託などから始める。それが日米のベンチャーファイナンスの最大の違い。バントの練習ばかりしていてホームランバッターになれるのか?ホームランバッターを生み出すには、三振をたくさんすること。

---------(ここまで)

 

という事で、VCの存在や投資方針はその背景にあるファンド出資者、社会の資本構造、さらには 辞い濃愿Δ靴紳人佑瞥彖任諒9舁廾により決定づけられると考える。

日本からホームランバッターを生む出すのは簡単ではない。

しかしいなくてよいのか?と言われれば、よいわけはない。この簡単ではない課題に取り組みには、米国留学を全国民に義務づけるとか、かなり過激で突拍子もない発想を真剣に議論に取り入れていく必要があるだろう。


※29日22:30追記

一概に、バントを否定しホームラインを肯定している訳でもない。現実はもっと複雑で多様だ。

GMO-PGは現在のGMOインターネットグループに参加する以前、独立系時代に大半の先行投資を10億円規模のVCファイナンスでまかない、最初から本来やりたかった決済サービスを開発・展開させて頂き、黒字化し、上場準備も行った。GMOインターネットグループとなって半年でIPO、上場時には時価総額1000億円近くとなった。しかしながらインフラに近いレイヤーでのBtoBtoCのビジネスであるためか、一発狙いという発想よりはむしろ「バント」を千回も万回も死ぬほど積み上げてきた。結果的に10年近く保有頂いたVC数社には数十倍のリターンをお返し出来たが、当社自身にはホームランという感覚はない。ホームラン狙いの戦略はすなわち「外したら倒産」であり、社会全体が失敗に寛容な米国と異なり、失敗に冷徹な日本で経営する以上、「様々なステークホルダーに対して経営責任を果たせるか」という視点からすると、なかなか難しい議論である。

上場 | 23:03 | comments(1) | trackbacks(0)

        

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- | 2011/06/02 7:14 PM

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