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「上場、もはや目標にあらず」だって? 大いに反論する。

最新号の某ビジネス紙の特集のタイトルだ。大いに反論する。

まず、そもそも最初から、目標などではない。あくまでも手段であり、通過点である。

私は「上場」にも、成功上場と失敗上場の2つの上場がある、と常々主張してきた。
上場して資本市場というインフラを有効利用して事業を伸ばすのが成功、上場して事業が失速したり、株主問題で混乱したりするのが失敗。明確である。
ほどんど取引がなく市場に忘れ去られてしまったような場合ももちろん失敗である。
ルール違反は論外である。
確かに、残念ながらこの基準で言えば「大公開時代」なるベンチャー大量上場時代が始まって以来、半分以上が失敗ということになってしまう。

しかし、半分は、成功している。着実に成長しているのである。
さらに、たとえ現在失敗していたとしても諦めさえしなければ、何年かかるかはともかく成功の可能性は常にあるはずだ。

志高く、真の顧客価値を創造し、
社員の財布にではなく誇りに問いかけ、
持続的に成長し、
創業者や投資家の上場益が目的などではなく、
長期的視点で企業価値の向上に取り組み、数十年単位で世の中を変えていこう、
という企業にとっては、上場コストなど戦略経費なのである。


確かに上場コストは急上昇。上場のバー(基準)も急上昇した。
監査法人も証券会社も振り子のように保守反動化している。

しかし「大公開時代」以前の1990年代以前の資本市場をご存知の方には自明だが、ちょっと昔と同じになっただけである。
むかしのベンチャーはみなそんな時代に上場し、今日の大企業になった。

創業者利益目的で起業し、数年でぱっと成功し、低い基準で上場して、上場して伸び悩んで、、そもそも甘いのではないだろうか?

本当に我が国は、そんな目的で新興市場を整備してきたのだろうか?

ちがうはずだ。


上場企業経営に携わり、これは実感している。
資本市場は、上場している状態は、これほど企業の永続的成長のための優れた栄養はない。

まず説明責任。

上場して一番変化するのは、知名度でも資金調達力でもない。説明責任ではないだろうか。
すべての意思決定が、少なくともその時点では誰に説明しても合理的だと思えるものでなければならない。
これほど経営者の意識を変化させ、社員の意識、会社の成長を促すものはないのではないだろうか。

未上場のオーナー企業であれば、極論すればなんでもありである。
そこですぐれたオーナーであれば、非常にスピーディーに事業を伸ばす事が出来る。
一定の規模まではいく。
しかし、いかに優秀なオーナーといえども間違える。強いオーナーであるほど、社員はオーナーの方ばかり向いてしまう。

顧客のために、事業の合理的成長のために正しいからではなく、オーナーにとって正しいから、という価値観が浸透していく。

企業の突然死や、ゆで蛙のようなゆるやかなる死から組織を守るのは、公明正大で合理的な説明責任が果たす役割は大きい。


次に四半期開示。正直相当しんどい。しかし、、重要である。

子供の成長は早い。会社もしかり。しかし日々の業務に忙殺され見落としてしまう。
良い面も悪い面も、チャンスもリスクも、急速に、しかし静かに進行する。
そこで、3か月に一回は、一年前の姿と比較分析するとどうなるか。
驚くほど変化している。
社員の数や売上、利益くらいはわかる。
しかし売上構成比、セグメント別の収益率、原価構造、資本回転率となるとどうか。1年前と比べると、驚くほど変化している。普段は実感しないものばかりだ。
儲からないが伸びている部門に資本を集中し過ぎていないか?
ソフトウェア資産が膨らみ、減価償却費という気付きにくいコストで長期的収益率が知らず知らずのうちに下降していないか?

気づかなければ大変なことになる、解決が必要な経営課題が多々、見えてくる。


そして何よりも、資本=エクイティの語源であるラテン語の「エクィタス」の意味は、公明正大・誠実・平等。
経営者、社員の意識が変わる。
いや、変えなければならない。変わらなかった会社がたどった道は悲惨である。


「上場の目的とは?」「資本市場を使い、公明正大に事業を広げていく」という教科書にのっている話は、無論正解であり真実でもある。
しかし、実際に上場会社を誠実に経営すれば必ず、その意味の底にある現実的な肌感覚を実感する事になる。
実際の数千、数万という株主、機関投資家も個人投資家からの「無言」の期待や不安、賞賛や非難、その上で日々経営するとはどのような感覚なのか。

聞くのとやるのでは大違いなのである。


すばらしい経営者・組織・会社を育てる、公器たるインフラ。
その意義は計り知れなく大きく重い。

上場はしたけれど

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